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サイエンスショップ一般について、よくあるご質問にお答えします。
1. サイエンスショップとはなんですか?サイエンスショップとは1970 年代にオランダで始まったシステムで、市民が科学技術を含めた様々な問題を持ち込み、科学者に相談を持ちかけるためのシステムです。サイエンスショップは、適切な専門家を選定し、市民と専門家の双方を交えた相談の中で適切な研究プログラムを策定し、その成果を社会に還元することを目指します。アメリカでは「コミュニティ・ベースド・リサーチ(CBR)」という言葉で知られていますが、これもほぼ同じようなシステムです。 2. サイエンスショップはどこにあるのですか?オランダを中心としてヨーロッパではサイエンスショップは大学の機関として設置されることが一般的です。この場合は、研究を実施するのは主に学生になります。これは、研究委託者にとっては安価な研究員を得ることにつながり、学生とっては、単位とオン・ザ・ジョブ・トレーニングの機会を得られることになります。サイエンスショップの教育能力の可能性に着目した欧州委員会は、東欧地域の大学がサイエンスショップを設置することを、資金と人材の両面から支援しています。 アメリカなどでは、独立したNGO としてのサイエンスショップが設立されている場合もあります。この場合は、一つの大学にとどまらず、多くの大学・研究機関と関係を築いて、様々な研究者に依頼できる一方で、個々の研究者や学生との結びつきは弱くなりがちであるという問題があります。また、資金的にも非営利の財団に頼ったり、出版などで組織を維持するという工夫が必要になり、運営は困難なものになります。 3. サイエンスショップは誰が使うのですか?多くの場合サイエンスショップは次のような条件を満たしている場合に相談・研究に応じます。 第一に、研究目的が非営利のものであり、研究成果が広く公共に公開されるような性質のものであること。第二に、相談してきたクライアントがその研究成果を利用して社会をよくするために活動できる体制があること( このため、一部のサイエンスショップでは個人からの相談依頼を断ります)。第三に、クライアントが研究を実施するための体制を整えるのに十分な研究資金を持っていないこと。 一般社会の研究ニーズに応じるという点で、サイエンスショップは日本でも近年普及してきた技術移転機関(TLO) やイノベーション・センターといった仕組みによくにています。しかし、それらが営利企業などから課題と研究資金を同時に提供されて研究プログラムを策定するのに対して、サイエンスショップでは研究課題を提示するのは非営利の団体ないし個人であり、研究費は大学や財団などの資金が充てられます。また、研究成果は公益に資するために社会に広く還元されます。 4. サイエンスショップでなにができるのですか?英語の「サイエンス」は自然科学を指すことが一般的ですが、実際は人文・社会科学まで含めた様々な問題が研究対象になります。 サイエンスショップは大学の法学部が設置している無料の「法律相談所」や「子ども電話相談」のような仕組みにもにていますが、それらの仕組みと違って、実際に研究を行います。また、その研究にはクライアント自身がなんらかの形で係わる( 参加型研究) が重要であるとされます。それによって、大学の研究者には、同僚との議論だけでは気がつかないような視点を得られるというメリットも生じます。 5. サイエンスショップでの研究成果はどうなりますか?一般的には論文にされ、誰でも読めることができるような形で公開されます。市民は誰でもその論文を読んで、自分の活動に利用することができます。 イギリスのサイエンスショップでは参加した学生が、「アカデミックな( 専門家向けの)」論文と「一般市民向けの」論文の二つを提出することが求められます。もちろん、一般向けの論文は一般市民がそれを利用できるように書かれることが必要で、専門家向け論文の簡易版ではありません。 6. サイエンスショップは誰のために活動しているのですか?第一にクライアントになる市民および市民社会のためです。20 世紀を通じて、企業や国家が潤沢な資金と人材を使って研究・開発を行うという方向性は一貫して強化されてきました。ところが、一般市民はそうした技術の受益者( あるいは時として被害者) になっても、主体ではありませんでした。しかし、サイエンスショップの仕組みが存在する地域では、市民が積極的に研究・開発に参加し、またその成果を自分たちのニーズに合わせて利用することが可能になります。 また、サイエンスショップを設置する大学も受益者です。大学の研究者は同じ専門分野を研究する同僚以外の視点を活用する機会になります。また、大学当局にとっては、大学が地域住民に開かれていることをアピールすることができるでしょう。また、すでに触れたように、学生にとっては象牙の塔からでて現実のコンテクストの中で自らの知識を試し、磨くオン・ザ・ジョブ・トレーニングの機会になります。 また、直接的にはクライアントとしてサイエンスショップを活用しない市民にとっても、環境や開発を巡る議論のレベルが向上し、より深い議論がされるようになるとすれば、これは各国・地域のの公共性や民主制にとって非常に大きな貢献と見なされるべきでしょう。 7. 具体的にはどんな研究事例があるのですか?以下のような研究が行われています。 - 史跡にもなっている教会の修復と基金収集プログラム。工学的な問題だけではなく、環境アセスメントから工事に関わる法的な問題まで包括的に調査。
- 農民グループの有機農法への事業転換を支援。
- モンドリアン美術館と協力して、モンドリアンの作品がマンガに使われている事例を収集。博物館展示に。
- 聾唖学校と共同で子どもむけオランダ語手話の教材開発( それまでオランダには適当な教材がなかった)
- 市民から妊娠に関する多くの質問が寄せられたのを集約。学生の博士論文に。
- 甲状腺機能低下についての症例のリスト化。医学的に未知の症例を数多く含むリストが作成される。
- アフリカ系アメリカ人が多数を占める地区での工場廃棄物の影響調査。農民、政府機関、ノース・カロライナ大との共同プロジェクト
- 18 のインディアン権利団体と共同でインディアンの喫煙率と疫学調査。禁煙プログラムの策定。
- 学生を動員して、全州3,000 ヶ所で水質調査
8. より多くの情報を知りたいのですが?下記の国際サイエンスショップ・ネットワークのサイトで、サイエンスショップの実情に関する研究レポートやニューズレターなどが読めます。 Living Knowledge: International Science Shop Network http://www.scienceshops.org/ 
オランダではサイエンスショップが通常のカリキュラムとして提供されている。これはプレスリリースの書き方やメディアの効果などに関する授業の風景(ユトレヒト大)。 
最古のサイエンスショップの一つであるユトレヒト大に蓄積された30 年ぶんのレポート。
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