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1. 世界のサイエンスショップ PDF プリント メール
2007/04/06 金曜日 03:43:44 JST

 1. 「サイエンスショップ」とは?

サイエンスショップ(Sciecne shop)は、
地域のNPO(非営利組織)/NGO(非政府組織)、自治体などの利用者(ユーザーまたはクライアント)からの相談・依頼をもとに、教員の監督・指導を受けながら、学生が主体となって、相談への回答や研究・調査等を行い、ユーザーの問題解決や社会活動をサポートする組織のことです。

国際的に共有されている定義では、「サイエンスショップは、市民社会が経験する懸念(関心)に応えて、独立で参加型の研究サポートを提供する(A science shop provides independent, participatory research support in response to concerns experienced by civil society)」とされています。

「サイエンス」ということから、理科系のことだけを連想しがちですが、人文・社会科学系のテーマも扱います。また「ショップ」といっても、何かを売る場所ではなく、無償もしくは安価な費用で、研究・調査に基づいた専門的サービスを市民に提供するところです。(英語の"shop"という言葉には「仕事場」という意味もあります。)

サイエンスショップは、1970年代にオランダの学生運動から生まれ、その後欧州諸国を中心に世界に広がり、欧州だけで現在70箇所以上あるといわれています。米国にも60年代から「コミュニティ・ベイスト・リサーチ(CBR)」という同様の活動があり、現在ではサイエンスショップと総称されることが多くなっています。近年は、アフリカやアジアなど非欧米諸国にもサイエンスショップが設立されるようになってきています。おとなりの韓国や中国にもあります。国際的な組織としては、国際サイエンスショップ・ネットワークLiving Knowledge: International Science Shop Networkがあります。

また欧州では、欧州委員会研究総局(DG Research: 日本の文部科学省に相当する欧州連合の機関)の「科学と社会」局が、研究助成などさまざまなかたちで活動の支援をしています。

2. サイエンスショップの特徴

サイエンスショップには、次のような特徴があります(参考: 春日匠「日本におけるサイエンスショップの可能性~市民社会が担う公共性のために~」, 『科学技術コミュニケーション』 1: 36-46)。

  1. 一般に、大学の付属組織として設置されるか、NPO(非営利組織)の形態がとられます。
  2. 市民や他のNPOから研究・調査の依頼を受け、それを適切な専門家にマッチングすることが主要な業務となっています。(自ら研究・調査を行う機関ではありません。)
  3. 非営利組織であるため、企業からの委託研究と違って、原則として一般市民やNPOのようなユーザーから人件費・研究費は徴収しません。
  4. 学部ないし大学院の学生が研究・調査を行うこともあり、学生にとってのオン・ザ・ジョブ・トレーニング(OJT)の機会を提供しています。オランダやデンマークなど欧州諸国には、学部や大学院の正規の教育カリキュラムの一部にサイエンスショップの研究プロジェクトを組み込んでいる大学が数多くあります。
  5. 理想的なケースでは、研究・調査を依頼したユーザー自身も研究に参加する「参加型の研究」が行われます。

3. サイエンスショップの「使命」と案件の採択基準

上のような特徴をもつサイエンスショップには、次のような使命(mission)と一般的な案件採択の基準があります。

サイエンスショップの使命

  • 研究と教育を通じて市民社会に知識と技能を提供すること。
  • 経済的に賄いうる価格でサービスを提供すること。
  • 科学技術に対する市民のアクセスと影響力を促進し支援すること。
  • 市民社会組織(NGO/NPOなど)との平等で助けになるパートナーシップを創造すること。
  • 研究・教育に対する市民社会のニーズについて、政策決定者や教育研究機関の理解を深めること。
  • 学生、地域社会の代表者、研究者のあいだで移転可能な技能と知識を強化すること。

サイエンスショップの案件の採択基準 

  • 案件の目的が非商業的なものであり、成果も公表されなくてはならない(または、案件は公益に資するものでなければならない)こと。
  • ユーザー自身の課題の達成に役立つような研究成果が挙げられること。
  • 財政上の理由から、ユーザーが他の手段を利用できないような案件であること。

 

参考文献・資料

最終更新日 ( 2007/04/06 金曜日 15:56:46 JST )
 
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